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出会いと別れ

『死別の悲しみに向き合う』のはじめに下のように書かれている。

死に別れることは、一部の人だけが運悪く経験するような特殊なできことではない。
 -中略-
いったい一年間にどれだけの日本人が死別を経験しているのだろうか。その数を明確に示すことはできないが、けっして少ない数でないことだけは確かである。

また同書では3世紀後半の西晋時代の潘岳という文人の詠んだ詩に触れている。
潘岳が愛妻を亡くした時に嘆き悲しんで詠んだ悼亡詩とうぼうしの一部である。

盧を望んでは其人を思い
室に入っては歴し所を想う
帷屏に髣髴たること無きも
翰墨には余跡有り
流芳は未だ歇くるに及ばず
遣挂は猶お壁に在り
悵怳として存すること或るが如く
周遑として忡えて驚惕す
ーーー
家を眺めては妻の姿を思い出し
部屋に入れば、ともに暮らした日々を思う
とばりや屏風のあたりにはもう妻は見えないが
筆のあとがまだ残っている
薫きしめた残り香は消えないで
着ていた衣服が壁に掛かっている
ぼんやりと、まだ生きているかと思い
はっと気が付き、驚きあわてる
(石川忠久訳)


今日もどこかで罪のない人々が亡くなっていることだろう。もし自分が大切な誰かを亡くした時に、病気で孤独になった時に、悲しみや苦しみを抱えながらも笑えるように、なんとか日常に戻れるように、私にとって力をくれる歌を忘れないように記事にしておこう。

『かたちないもの』(柴咲コウ)
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『Start』(Every Little Thing)
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